#量質転化の法則

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授業や集会で話した別なネタを思い出しました。哲学で弁証法というのがあります。その一つの考え方に「量質転化の法則」というのがあります。ぼくは、これを三浦つとむという人の『弁証法はどういう科学か』(講談社現代新書)で読み、とても納得できる好きな考え方で自己流にくだいてよく生徒に話したのでした。あるクラスの生徒たちに卒業にあたって書いた文章がありますので、一部を転載してみます。

<何であれ一定の「量」が蓄積されれば、それは「質」的な飛躍をもたらすという考え方です。ぼくはこれを「ワープ」と呼んでいます。スポーツの練習で考えてみてださい。一つの技術の練習を繰り返していると次第に上達してきます。しかし、ある段階に達すると壁のようなものができて、やってもやってもその壁を越えて次のレベルにたどりつけない時期が必ずやってきます。ここで嫌気がさしてやめてしまうと、絶対にその壁の向こうの世界は見えません。しかし、不思議なことに、それでも愚直に練習と工夫を重ねているとあるとき突然、ひらめきというか、悟りというか、ぱっと世界が開けたように、出来なかったことがあたりまえに出来てしまうことがあります。これをぼくは「ワープ」と呼んでいますが、この体験の繰り返しが技術の上達だと思います。でも、これは特別なことではなく、成長してきた過程で君たちも何度もこの「ワープ」によって脱皮を続けてきたのだろうと思います。コツは、壁が見えたとき、自分の限界だと考えて降りてしまわないことです。「継続は力なり」という言葉は信じていい。>

これはスポーツに限りません、芸術の鑑賞眼や、様々な職業的なプロの知識や職人の技術などなど、ある一定の体験的な量が蓄積されれば、常人からすれば信じられない質が生まれるのだと思います。才能や能力という問題はあるかもしれませんが、それでも、それぞれのレベルにおいて、量は質に転化するのだということは信じてよいのだと思います。教育の一つの役割は、その「ワープ」の実感を個々の生徒に持たせることでもあると思います。ちょっとニュアンスは違いますが、「達成感」と置き直してもいいかもしれません。その体験は、その後の人生において効いてくるのだと信じるのです。

きれいごとかもしれませんが、ぼくは体験的に「量質転化の法則」は信じていいのだと思っています。

#量質転化の法則」への1件のフィードバック

  1. 量質転化の法則、また含蓄のあるワードを教えていただきました。諦めずやり続けることですね……!
    妹尾先生のお陰で全く手に取ることがなかったジャンルの本を知ることが出来ました!そして楽しいエッセイを繰り広げていただきました。ありがとうございました!

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