#部活(4)

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同じ冬の3月下旬くらいであった。再び、国際スキー場で大会があった。その時、競技が始まる前に、中学生の部門で出場する女子生徒とその父親がぼくの所に挨拶にやって来た。4月から静修高校に入学してスキー部に入る予定であるのでよろしくお願いするというのである。その生徒はアルペンのレーシングチームに所属しており、その兄も全国的な実績のある有名なアルペン選手であった。うわー、と思ったのである。そして大会である。ぼくは前と同じく、生徒のウェアを抱えて長靴で斜面をとことこ降りていくしかなかった。その時、その父親の当惑したような、落胆したような表情が忘れられない。その生徒はあと一息で全国に行けなかったが、違う学校のスキー部だったらと、本当に申し訳なく思う。

その次の冬休み、前の顧問がやっていたのと同じように、合宿練習してからそのまま大会に入るよう生徒に要求された。嫌だとは言えないので了解した。富良野スキー場で1週間ぐらい練習合宿をして、そのまま移動して3日間くらいの日程で名寄のピヤシリでの大会に参加した。正味10日間ぐらいずっと山に缶詰で凍えた。それもつらかったが、大会前夜に、出場する3年生の生徒がワックスはどれを塗ればいいのか指示しろというのである。雪温を予測して、それにふさわしいワックスを塗るのである。ぼくにわかるわけがないので、他の学校のスキー部の先生に聞きに行って、それを教えたのであったが、さも馬鹿にしたような態度をとられて「くそったれ」と思ったのである。増長した生徒は、大会が終わって帰る段になって「帰りたくない」とわけのわからぬ駄々をこねはじめたのである。勝手にしろ、と思ったが宿泊先のおばさんがとりなしてくれて、やっと帰路につけたのであった。

さすがに、これではつらすぎると、ぼくはばんけいスキー場のスキー教室に通ったのである。多少は滑れるようになったが、競技スキーを指導できるようなレベルとは程遠い。

冬場の生徒の練習場所は藻岩スキー場である。放課後になると毎日、ぼくの車に生徒を乗せ、車の屋根のキャリアにスキーを積んで運ぶのである。生徒を降ろすと、学校の会議などがあるので、すぐにUターンして学校に戻り、会議に出て、7時ぐらいまでに再びスキー場に戻り、生徒を拾って帰校するのである。全くのアッシー君である。

そんなこんだで、3ヶ月の約束が、10年近くスキー部顧問を務めるはめになったのであった。3ヶ月だけだからと約束したはずのその先生は、その後、全く知らん顔だった。(恨みがましいことを書いてしまったが、これですっとした。)

9 thoughts on “#部活(4)

  1. 10年間も辛い顧問を続けて下さったのですね。ご苦労様でした(笑)さぞかし、スキーの腕前は上達されたのでしょうね?!

  2. うっ〜〜〜〜。
    泣ける〜〜〜〜(涙)
    長靴で、トボトボ斜面を降る先生…。
    生徒に憎まれ口を叩かれる先生…。
    アッシー君をする先生…。
    季節が、冬の話だからか? 真っ白な雪原に、ポツンとする妹尾先生を想像すると…胸が痛い〜〜(涙)
    当時のスキー部の方々にも、読んで欲しいですね。
    コメントがあったら、きっと先生は、学校の図書室を訪れ…卒業アルバムを開くでしょうね。
    同窓会に御出席される際には、図書室を訪れて卒業アルバムを開いていらっしゃる先生だから。

    • 切なすぎる内容に(涙)連発ですね。恨みがましいことを言ってスッとしたなんて・・・(^^;)とても真似が出来ません!

  3. うーん、若いって時に残酷ですからねー、幼児の無邪気さとは違い、大人に抵抗してみたい年頃真っ最中、そして妹尾先生がむやみに怒鳴ったりしない紳士だと分ってるんでしょうねー

    私のスキーの思い出は小樽の春香山、あそこが百合で有名になったのは何時頃からなんでしょうね。
    懐かしさと共に百合を見てみたいと思いつつ、まだ行けてませーん。

    • 数年前、同期会担任として出席した妹尾先生に退学した教え子もたくさん出席し感謝の言葉の嵐が。その後、妹尾先生から同期会幹事のもとに幹事へのねぎらいと担任として退学者を出した自責の言葉が述べられた手紙が届けられました。妹尾先生のエッセイを見るような内容に幹事達は感激していました。きっとスキー部の卒業生も妹尾先生の全力投球な姿勢に感謝していると思います。

  4. じゅっ、じゅっ、・・・10年! (゜〇゜;)
    拍手喝采ですね! ある意味、戦いだったのではないでしょうか。滑りの上達を今度は知りたいですね(^^) ボーゲン?パラレルターン? 自分は球技は得意でしたがスキーはイマイチ上達しませんでした。ソリー遊びのほうがスキー(笑)

    • 戦いの渦中にいるときは悩みが多いと思いますが、過去を前向きに語れる妹尾先生の文才に脱帽です!

  5. 三ヵ月の約束が10年って。。。

    限られた時間のなか沢山の努力を続け
    エッセイに書けてスッとされたとは
    どんなに素敵な御人柄なのでしょう!!

    ファンが多いのもわかりますね💛

    知らん顔した先生
    どんな気持ちで読まれているかしら・・・

    • 知らん顔した先生って、多分?推測出来ますが、きっと見ていないと思われます(笑)

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