#部活(3)

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部活の顧問というのも、いろんな課題を抱えている。ある部活の顧問で、運動部ならその競技歴があるとか、文科系でもその分野についての一定の経験があるという場合はその指導はいろいろ大変なことがあるにしても、それなりにスムーズにいくであろうし、やりがいもあろうが、全く未経験であるような場合は、なかなかきついことになる。教科指導は、それなりの訓練を受けた各教科の専門性が生かせる。しかし、部活顧問はそうした専門性とは無関係に全くの素人であっても顧問に任ぜられることが多々あるのである(むしろそういうケースが多いであろう)から大変である。たとえば、生徒や父母の要求する水準の技術指導ができないということは、その部活の顧問にとってはそれだけで大きなプレッシャーになる。その分野には素人であって技術的な指導ができなくても、教師として教育的な部活の指導はできるという考え方は正論であろうが、理屈で言うほど簡単なことではない。ある部活の分野における顧問の知識や技術などの経験値が生徒のレベル以下であるという場合、その部活指導に対する信頼の土台がそもそも不安定で揺らいでいるわけだから、指導の前提となる「教える――学ぶ」という関係が成り立ちにくい。

ぼくは勤務1年目は、文芸部の顧問であったように記憶する。それなりの意欲も持っていたような気がするが、ある日、どんな事情があったのか知らないが、シーズン途中なのにスキー部の顧問がやめたいと言っているので、その後を引き受けて欲しいと言われた。スキーなど滑れませんから無理ですと断ったが、とりあえず、生徒も困っているから臨時で3カ月だけやってくれないか、その後は必ずだれか他の人に頼むからと執拗に迫られ、やむなく承諾した。ねちっこく迫ったその先生のことはいまだに覚えている。

今でも覚えているが、最初の引率は国際スキー場での大会であった。生徒と一緒にリフトでスタート地点近くまで上った。滑れないので、ぼくはスキーをはいていなかった。スタートするまで選手は競技用のスキーのスーツの上に防寒用のウェアを着ているが、競技ではスタート直前にそれを脱いで滑り降りていく。他校の顧問はそれを肩に担いで、競技が行われている斜面横の狭いスペースをスイスイと滑り降りていく。ぼくは、同じように生徒のウェアを肩に担いだが、スキーではなく長靴でとことこ降りていくのである。リフトで降りようとしたが下りは乗れませんと断られたのであった。下までたどり着くと、生徒は「おそーい、寒い、寒い」と怒りをぶちまけてきたのである。これは実に屈辱的な体験であった。

競技の2本目も同様に、長靴で降りていった。その時、コース下に心配してやってきてくれた花田先生と谷浦先生の姿があった。そのお二人の気持ちが本当にありがたかった。今でも忘れない。(・・・続く)

9 thoughts on “#部活(3)

  1. 妹尾先生のキャラが如実に現れた文章、妹尾先生の姿をかぶせてみると泣けてきました(笑)
    当時のスキー部員は見ていないかなぁ?

  2. 大うけ!(笑) この一言につきます!
    ほんとですね、スキー部の方見ておられたらぜひ、あらゆる妹尾先生の珍事件!?(笑)
    聞いてみたいものですね(⌒‐⌒)
    それでも何年、スキー部の顧問をやられたのでしょう?(^^)

  3. 妹尾先生の一生懸命に
    生徒さんのスキーウエアを大切に抱えて冷たい空気のなか雪山を降りる姿、
    そして花田先生と谷浦先生を見つけた時のお気持ち・・
    妹尾先生の優しさと誠実さ、花田先生と谷浦先生との素敵な交流が伝わり
    泣けちゃいますね。。

    いつも思いますがドラマになりそう゜:。* ゜.

    スキー部の皆さんから
    ぜひコメントいただきたいですね!

    • 妹尾先生の文章に感情移入していると色々なずっこけた場面が我が身に降りかかった事のようで共感します!しっかり青春ドラマですね(笑)

  4. 59期の同期会の活動の中で、長くテニス部の顧問をされていた、大橋先生のお話しを聞く機会がありました。その時に最初は部長に負けるくらいの実力で信頼もされてなかった。

    でも自分も負けず嫌い、いーまーに見ていろーと、本を買い、ビデオを見て、スクールにも通い、ついに部長を負かしたんだー、そして皆でもっと上手くなって全国大会を目指そうと言ったさーと、楽しそうに話して下さいました。

    大橋先生は元々出来たんだろうとばかり思っていた私はビックリでした。
    いやー深いです。まだまだ色んな話しあると思います。楽しみです。

    • 大橋先生のテニス部のエピソード初めて知りました。大橋先生も努力家だったのですね・・・(失礼!)。まあ、教員は担当教科以外は似たり寄ったりのことが多いです。

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